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多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズとは

多焦点眼内レンズとは、2箇所以上の距離にピントを合わせられる医療用眼内レンズのことです。


単焦点眼内レンズの場合(遠くにピントを合わせたとき)

多焦点眼内レンズの場合



上記のように、多焦点レンズでは近くも遠くもピントが合うため、単焦点レンズに比べて眼鏡を使用する頻度が減ります。ただし、多焦点レンズの種類によって得意な距離や状況などが異なりますので、ご自身の生活に合った多焦点眼内レンズを選ぶことが重要です。


術後の見え方

多焦点眼内レンズは近方と遠方に光を振りわけます。そのため、薄暗い場所で見え方が少しぼんやりする傾向を持っています。 手術後に近くがよくみえるようになるためには、ある程度レンズに慣れる期間が必要です。 人によって異なりますが、術後1ヶ月から3ヶ月くらいでよくみえるようになってきます。


眼鏡の装用について

多焦点レンズを使用すれば、日常生活でほぼ眼鏡がいらなくなりますが、多焦点眼内レンズの手術を受けた場合でも、眼鏡が必要になるケースがないわけではありません。見え方は個人差がとても大きく、また満足度もそれぞれ異なります。 特に細かい文字を扱ったり、精度の高い手作業のお仕事、長時間パソコンなどの画面を見るお仕事などをされている場合には、眼鏡が必要になるケースが多くなります。


グレア・ハローについて

多焦点レンズの性質上、夜に光るものはにじんで見えます(グレア、ハロー)。たとえば、月や車のヘッドライトのまわりに少しひかりの輪が見えます。


多焦点眼内レンズの注意点

多焦点レンズは常に光を遠くと近くに割り振っていますので、すべての光が利用できるわけではありません。 そのため暗いと光の量が足らず見にくかったり、はっきり感(コントラスト感度)では単焦点レンズに劣ります。
多焦点眼内レンズは、約15%位のコントラスト感度の低下があると言われています。図の“あ”と“い”の間ぐらいで、黒い文字が少し薄くみえる、あるいは膜がかかったように見える場合があります。


多焦点眼内レンズが向いている方

手術後はメガネやコンタクトから解放されたい方、日常生活において、裸眼で不便なく生活したい方に向いています。 多焦点眼内レンズの中には乱視矯正レンズもありますので、白内障治療と同時に乱視も矯正したいという方にもおすすめです。


◆原則的に白内障以外に目の病気のない方
◆できるだけ眼鏡からより解放されたいと希望している方
◆術後の見え方にハロー・グレア現象などが生じることや、新しい見え方に適応するのに数ヵ月かかる可能性があること、眼鏡が全く必要でなくなることはないなど、術後の見え方などをご理解いただける方


多焦点眼内レンズは眼鏡をかけない暮らしが期待できますが、一方でその特性に伴うデメリットもあります。特性や医師の説明をよくご理解いただけない場合には、手術を受けられない可能性もあります。



多焦点眼内レンズが向いていない方

◆夜間の運転、あるいは職業上近見作業の多い方(タクシーやトラックの運転手など職業運転手、デザイナー、写真家など)
◆白内障以外の目の病気や身体の病気がある等を理由として医師が不適当と判断した方
◆細かな事が気になる方や神経質な方
◆多焦点眼内レンズのデメリットを理解していただけない方
◆角膜混濁・チン小帯脆弱など通常の白内障手術で単焦点レンズを挿入する際にも慎重に検討すべき方


多焦点眼内レンズをご希望されても、様々な理由で「お勧めできない」と判断する場合もありますので、ご了承ください。


多焦点眼内レンズの種類

多焦点眼内レンズには、回折型と屈折型があります。※回折は、波動が媒質中を伝わる際に、障害物の背後など幾何学的には入り込めない場所に入っていく現象を指す言葉です。


回折型

レンズに階段状の段差がついているため、入ってくる光が回折現象により分配され、遠方と近方の2カ所に焦点を結ぶ原理に基づいて設計されています。 屈折型と違い、瞳孔の大きさに関係なく近くがよく見えることが特徴です。


屈折型

遠近両方の距離に対応するため、目に入ってきた光を、遠距離、近距離に振り分けます。遠方は明暗に関わらずクリアに見えることが特徴ですが、 回折型に比べると、手元がやや見えづらい傾向を持っています。

                 
多焦点眼内レンズ比較表
テクニスシナジー
(Tecnis Synergy)
クラレオンパンオプティクス
(PanOptix)
種別回折型+焦点深度拡張型回折型
焦点数 2点 EDOF(遠方から中間) 3点
近くの焦点距離 40cm 近方 40cm  中間 60cm
乱視矯正 あり あり
特徴 ・遠方から中間にかけての見え方を重視(連続的)
・暗所でもコントラスト感度落ちにくい
・ハロー・グレアが多少出やすい
・パソコンなどに必要な中間距離で良好な視力
・遠方、中間、近方の3焦点
・手元30㎝の視力はやや劣る

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